現在地M&A資格総合
制度・費用

M&A支援機関は社員に資格取得を推奨すべき? 判断表で整理

先に結論

M&A支援機関登録制度の登録機関に、社員への資格取得の推奨を求める制度は2026-10-22時点で確認できません。中小企業庁の検討会資料(2026年3月17日)が、登録機関に「自社の担当者への当該資格取得の推奨」を求めることを「検討」と記載した段階です。ガイドラインQ&Aは、支援の質の取組を各機関の規模や社内体制に応じて行うよう求めています。推奨は、重要事項説明を担う担当者から順に始めてください。

この記事の結論

  1. 01

    M&A支援機関登録制度に登録されているFA及び仲介業者は、2026年10月20日時点で3,427件(法人2,648件、個人事業主779件。中小企業庁、2026-10-22確認)。

  2. 02

    中小企業庁の第4回検討会 資料2(2026年3月17日)は、登録機関に「自社の担当者への当該資格取得の推奨」を求めることを「検討」と記載している。決まった制度ではない。

  3. 03

    中小M&Aガイドライン(第3版)に関するQ&A ⑪No. 6は、支援の質の確保・向上の取組について、各支援機関に規模や社内体制等を踏まえた対応を求めている。

  4. 04

    第5回検討会 資料2(2026年7月21日)は、合格者の登録・更新時の講習と、支援機関が「新規・中途採用者等が資格者であるか否かの確認が可能」になる検索システムを案として示している。

  5. 05

    推奨は重要事項説明を担う仲介・FA担当者を最優先にし、既存資格で知識を固め、新しい試験は公表後に対象者を決める二段構えが現実的。

01

M&A支援機関は何件登録されている?(最終確認日:2026-10-22)

中小企業庁は、M&A支援機関登録制度に登録されているFA及び仲介業者が2026年10月20日時点で3,427件(法人2,648件、個人事業主779件)になったと公表しています(中小企業庁「登録フィナンシャル・アドバイザー及び仲介業者の公表(令和8年度公募(9月分))」、2026-10-22確認)。

M&A支援機関登録制度の登録件数の推移(単位:件、中小企業庁の各公表ページ、2026-10-22確認)
時点登録件数の合計法人個人事業主出典
2026年7月21日3,4982,681817中小企業庁 令和8年度公募(5,6月分)の公表
2026年8月20日3,2872,531756中小企業庁 令和8年度公募(7月分)の公表
2026年9月24日3,3622,590772中小企業庁 令和8年度公募(8月分)の公表
2026年10月20日3,4272,648779中小企業庁 令和8年度公募(9月分)の公表

人数ではさらに多くなります。中小企業庁の中小M&A資格試験実施事業の募集要領(2026年3月27日)は、受験者数の想定を「M&A支援機関登録制制度(※3)におけるM&A支援業務専従者数等である約 10,000 人をベースとして見積りを行うこととする。」と記載しています(2026-10-22確認)。新しい試験は登録機関の専従者を主な受け手として設計されています。

比較のあとに

比べた条件のまま、いまの理解度を無料で確認できます。

法人・団体向けの学習プランを見る

当メディア運営者が提供するサービスです(開示)

資格取得を推奨する社員の学習を、部署単位で同じ教材・同じ基準で進める方法を確認できます(当メディア運営者が提供するサービスです)。

02

登録機関は社員への資格取得の推奨を求められている?

中小企業庁の第4回検討会 資料2「中小M&A市場の改革に向けた方向性について」(2026年3月17日)は、「並行して、中小M&Aガイドラインにおいて、「M&A支援機関登録制度」の登録機関に対して、自社の担当者への当該資格取得の推奨や重要事項説明を当該資格保持者が行うことを求めるなど、資格の浸透を通じた市場の健全化を図ることを検討。」と記載しています(2026-10-22確認)。文末は「検討」で、2026-10-22時点でこの内容を定めたガイドラインの改訂は確認できません。

同資料の試験のコンセプトは、仲介・FA業務に関わる者を主な受験対象としたうえで、「また、商工団体や事業会社において中小M&Aに携わる者等についても、受験を広く推奨する。」としています。p.12の委員意見サマリには「本試験は、登録M&A支援機関における「M&A支援専従者」に受験してもらうことが第一目的」という意見も載っています。

第5回検討会 資料2が参考として引用した政府の戦略は、「制度への参加や資格取得を通して、支援機関等がその能力の向上や倫理観の醸成を図ることで、事業を遂行する上での他者との差異の明確化につなげられるよう、これらの制度の法制化を目指す。」と記載しています(2026-10-22確認)。資格取得を支援機関の差別化につなげる方向は示されています。

03

中小M&Aガイドラインは支援機関に人材面で何を求めている?

中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)に関するQ&A」は、⑪「M&A支援機関登録制度の登録支援機関に求められる対応」の章で、第3版で追加対応が必要となる主な項目を9つ挙げています(⑪No. 3、2026-10-22確認)。資格や研修という語はこの章に出てきませんが、⑧に「その他、社内関係者への第3版の内容の周知・徹底、運用体制の整備」が含まれています。

Q&A ⑪No. 3が挙げる追加対応の9項目と社内の担い手(項目は中小M&Aガイドライン(第3版)に関するQ&A、担い手は当メディアの整理。2026-10-22確認)
項目(Q&A ⑪No. 3の記載。⑧⑨は要約)社内で主に担う人
①仲介・FAの手数料・提供業務に関する事項仲介・FA担当者
②広告・営業の禁止事項の明記営業担当者・管理職
③利益相反に係る禁止事項の具体化仲介担当者・審査部門
④ネームクリア・テール条項に関する規律仲介・FA担当者
⑤最終契約後の当事者間のリスク事項について仲介・FA担当者
⑥譲り渡し側の経営者保証の扱いについて仲介・FA担当者
⑦不適切な事業者の排除について審査部門・管理職
⑧社内関係者への第3版の内容の周知・徹底、運用体制の整備経営者・管理職・研修担当
⑨ホームページ掲載内容や顧客への事前説明資料の整備管理部門

人材面で直接触れているのは⑪No. 6です。Q&Aは、支援の質の確保・向上に関する取組の公表や資料の提出について「特段必要はありませんが、各支援機関において規模や社内体制等を踏まえて適切に対応をお願いいたします。」と回答し、「実績報告(6月末頃)に際して、取組の状況を報告していただき、登録機関データベース上において公表すること(任意)を検討しております。」と続けています(2026-10-22確認)。何をするかは各機関に委ねられ、資格取得の推奨はその選択肢の一つです。

ガイドライン第3版の「はじめに」も、第2版の改訂の背景として「担当者によっては支援の質が十分と言えない場合があるといった声が聞かれるようになった」と記載しています(2026-10-22確認)。担当者の資格を重要事項説明でどう示すかはM&Aの重要事項説明と担当者の資格で整理しています。

04

検討会資料は資格と講習をどう設計している?

中小企業庁の第5回検討会 資料2(2026年7月21日)は、中小M&A資格試験の合格者を登録し、登録時・更新時に講習の受講を求める制度の案を示しています(2026-10-22確認)。

第5回検討会 資料2の案のうち支援機関にかかわる記載(中小企業庁、2026-10-22確認)
論点資料の記載(原文)支援機関への意味
登録者検索システム(仮称)の使い道支援機関について「新規・中途採用者等が資格者であるか否かの確認が可能」採用時に資格の有無を確かめられる
公表項目のうち所属先名「「所属先名」は任意記載とするなどもあり得る」会社名が載るかは未定
登録取消し時の所属先への措置「当該登録者が所属する支援機関に対しても、何らかの措置を行うか。」社員の不正が会社に及ぶかは論点として残る
登録・更新時の講習「登録講習:①M&A実務、②倫理・行動規範 等の内容をE-learning等の形式で受講する形を想定」合格後も講習の時間を見込む

登録継続期間について、同資料は「3~5年を想定」としています。講習は「資格試験実施団体による設計・実施等を念頭に置きつつ、外部の講習機関等を指定し、連携することも検討すべきではないか。」とされ、費用は示されていません(2026-10-22確認)。登録・更新の案は中小M&A資格の登録制度と更新で詳しく扱っています。

05

社員に資格取得を推奨するか、どう判断する?

推奨の優先度は、社員が重要事項説明を担うかどうかと、仲介・FA業務に関わる度合いで分けるのが目安です(本記事の整理。根拠は中小M&Aガイドライン(第3版)に関するQ&A ④No. 3、中小M&A資格試験実施事業 募集要領、2026-10-22確認)。

社員の立場別・資格取得を推奨するかの判断表(根拠は中小企業庁の公表資料、2026-10-22確認)
社員の立場推奨の目安根拠いまできること新しい試験の詳細が公表されたら
重要事項説明を担う仲介・FA担当者優先して推奨Q&A ④No. 3(保有資格を説明)・④No. 10(十分な経験・能力)既存の検定・認定で知識の裏づけを作る最初の受験対象にする
経験の浅い仲介・FA担当者(今後説明を担う予定)優先して推奨募集要領の受験対象「今後中小M&Aの仲介・FA業務を行おうとする者」ガイドライン第3版とスキルマップで基礎を固める説明を任せる前の受験を検討する
案件の審査・管理を担う者推奨を検討Q&A ⑪No. 3 ⑦不適切な事業者の排除・⑧運用体制の整備ガイドライン第3版を読み込み社内研修を担う社内基準の担い手として受験を検討する
金融機関でM&Aの仲介・FAを行う部署の担当者優先して推奨募集要領の受験対象に「金融機関」に所属する仲介・FA業務に関わる者既存の金融機関向け検定で基礎を固める部署単位で受験の順番を決める
法人営業でM&Aの相談を取り次ぐ担当者本人の希望に応じて仲介・FA業務を行わなければ募集要領の主な受験対象から外れる取り次ぎに必要な範囲でガイドラインを学ぶ担当替えの予定があれば受験を検討する
商工団体・事業会社でM&Aに携わる者本人の希望に応じて第4回検討会 資料2「受験を広く推奨する」支援機関を選ぶ目を養う範囲で学ぶ任意で受験を検討する

推奨する社員は、新しい国の試験の4領域(M&A実務、財務・税務、法務、倫理・行動規範)のどこが弱いかを先に確かめると、学習の順番を決めやすくなります。担当者が個人で当たりをつけるなら無料の20問診断が使えます(当メディア運営者が提供する無料サービスです)。既存資格の選び方はM&A資格のおすすめと比較にまとめています。

06

推奨を始める前に社内で決めることは?

社員に資格取得を推奨する前に、中小M&Aガイドライン(第3版)に関するQ&A ⑪No. 6のいう「規模や社内体制等を踏まえ」た対応として、次の7項目を決めておくと運用がぶれません(2026-10-22確認)。

  • 推奨の対象者(重要事項説明を担う者、経験の浅い仲介・FA担当者など)と、対象から外す立場
  • 推奨にとどめるか、業務上の受講・受験として扱うか(検討会資料の案が決まる前に、社外へ「義務」と説明しない)
  • 受験料・教材費・講習費の負担と、不合格のときの扱い
  • 学習・受験・合格後の講習に充てる時間を勤務時間として扱うか
  • 既存資格を先に取らせるか、新しい試験の公表を待つか(試験日・受験料・正式名称は未公表)
  • 合格や登録の情報を重要事項説明書・会社案内にどう載せるか(登録者の所属先名は「任意記載とするなどもあり得る」とされた段階)
  • 検討会とガイドラインの改訂を追い、社内の規程を見直す担当者

3つ以上が未定のまま推奨を始めると、対象者ごとに受け止め方がばらつきます。部署単位で同じ教材と同じ基準で学習を進めたい場合は、法人・団体向けの学習プランで導入の流れを確認できます(当メディア運営者が提供するサービスです)。

07

注意点・よくある失敗

  • 第4回検討会 資料2の「資格取得の推奨」を、登録機関の義務として決まったと社内に伝える。資料の文末は「検討」です。
  • M&A支援機関の登録と社員の資格を同じものとして扱う。登録制度は機関を単位とし、中小企業庁の2026年7月21日の公表ページは登録要件を「中小M&Aガイドラインの遵守の宣言等」と説明しています。
  • 全社員に一律で推奨する。仲介・FA業務に関わらない社員は、募集要領の主な受験対象の文言から外れます。
  • 試験の詳細が公表されるまで何もしない。ガイドライン第3版とQ&A、スキルマップは2026-10-22時点で公表されており、知識の土台づくりは今から始められます。
  • 合格後の負担を見込まない。第5回検討会 資料2は、登録時・更新時の講習受講を要件とする案と、登録継続期間「3~5年を想定」を示しています。

よくある質問

中小企業庁の公表資料で、登録機関に社員の資格取得を義務づけた規定は確認できません(2026-10-22確認)。第4回検討会 資料2(2026年3月17日)が、登録機関に「自社の担当者への当該資格取得の推奨」を求めることを「検討」と記載した段階で、対象となる中小M&A資格試験の試験日・受験料・正式名称も未公表です。

M&A支援機関登録制度の登録件数は、2026年10月20日時点で3,427件(法人2,648件、個人事業主779件)です(中小企業庁「令和8年度公募(9月分)」の公表、2026-10-22確認)。2026年7月21日時点は3,498件(法人2,681件、個人事業主817件)でした。

中小M&Aガイドライン(第3版)に関するQ&A ⑪No. 6は、取組内容の公表や資料の提出は「特段必要はありません」と回答しています(2026-10-22確認)。同じ回答で、実績報告(6月末頃)の際に取組の状況を報告してもらい、登録機関データベース上で公表すること(任意)を検討しているとも記載しています。

中小M&A資格試験の試験日・受験料・正式名称・受験資格は、2026-10-22時点で中小企業庁から公表されていません。一方で、重要事項説明で担当者の保有資格を説明する扱いは中小M&Aガイドライン(第3版)に関するQ&A ④No. 3にすでに記載されているため、既存資格とガイドラインの学習を先に進め、新しい試験は公表後に対象者を決める進め方が取れます。

中小企業庁の第5回検討会 資料2(2026年7月21日)は、登録者検索システム(仮称)の公表項目について「「所属先名」は任意記載とするなどもあり得る」としており、会社名が載るかは決まっていません(2026-10-22確認)。公表項目は検討中の案です。

一次資料・参考資料

更新・訂正履歴

  1. 初回公開

    公開時に、記載の数値・制度情報を一次資料・公式情報で確認しました。

開示

比較と利害関係について

本メディアは「中小M&A資格ナビ」運営者が運営しています。本文中の診断・法人・団体向けプランへのリンクは、当メディア運営者が提供するサービスです。

開示方針を確認する
次の一歩

読んだ内容を、無料の確認へつなげる

資格取得を推奨する社員の学習を、部署単位で同じ教材・同じ基準で進める方法を確認できます(当メディア運営者が提供するサービスです)。

法人・団体向けの学習プランを見る

当メディア運営者が提供するサービスです(開示)