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弁護士・司法書士にM&A資格は必要か。関与場面から考える

結論を先に示し、根拠・比較・関連する疑問・一次資料の順に確認できます。

Answer first結論

先に結論

弁護士・司法書士が中小M&Aに関わるために、M&A関連の民間資格や創設予定の資格が必要という公表情報はありません。中小M&Aガイドライン第3版は士業等専門家として公認会計士・税理士・中小企業診断士・弁護士に個別の節を設け、弁護士の支援内容を具体的に列挙しています。資格が意味を持つのは、法務の役割を越えてFA・仲介の側に立つ場合と、支援機関に求められる行動規範まで体系で説明する必要がある場合です。

Key takeaways

この記事の結論

  1. 01

    資格は関与の要件ではない。ガイドライン第3版は弁護士を資格の有無ではなく支援内容で位置づけており、法務DDや契約書の作成・リーガルチェックなどが列挙されている。

  2. 02

    同ガイドラインが個別の節を置く士業は、公認会計士(111頁〜)、税理士(115頁〜)、中小企業診断士(121頁〜)、弁護士(123頁〜)の4つ。加えて「その他の士業等専門家」の節が130頁に置かれ、司法書士はこの4つには含まれない。

  3. 03

    M&A支援機関登録制度は機関を単位とする仕組み。令和4年1月の制度概要では、デューデリジェンスのみを行う士業等専門家は対象としないと明記されており、対象になるかは士業の種類ではなく業務で決まる。

  4. 04

    創設が検討されている中小M&A資格試験(仮称)は、正式名称・試験日・受験料が未公表。受験対象は検討会資料に案が示されている段階で、確定していない。

  5. 05

    現時点で確認できるのは、受験資格のないCBT型の基礎資格と、案内ページ上は士業を受講資格に挙げている上位講座の2系統(後者は現在の開講状況が未確認)。順番を決めて動けば、詳細の公表を待ちながら基礎を積める。

01

ガイドライン第3版に書かれた弁護士の支援内容(最終確認日:2026-09-07)

第2章第Ⅴ節の4「弁護士」には、「(1)弁護士による中小M&A支援の特色」(123頁)と「(2)主な支援内容」(124頁)が置かれ、主な支援内容として次が挙げられています。

  • 株式・事業用資産等の整理・集約の支援(名義株主・所在不明株主への対応を含む)
  • 契約書等の作成・リーガルチェック
  • 中小M&Aに伴う経営者保証解除の円滑な実現に向けた支援
  • 法務DD
  • 債務超過企業に対する中小M&A支援

同ガイドラインは士業等専門家を「公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁護士等の資格を有する専門家をいう」(17頁)と定義し、DDについては「デュー・ディリジェンス(Due Diligence)とは、対象企業である譲り渡し側における各種のリスク等を精査するため、主に譲り受け側がFAや士業等専門家に依頼して実施する調査をいう」(21頁)と説明しています。つまり弁護士は、支援機関の枠組みの中で法務側の担い手として想定されています。

02

弁護士と司法書士で、公表情報から言えること

比較項目弁護士司法書士
ガイドライン第3版の個別節あり(第2章第Ⅴ節4・123頁〜)個別の節が置かれているのは公認会計士・税理士・中小企業診断士・弁護士の4士業で、そこには含まれない
支援機関登録制度の対象FA業務または仲介業務を行う場合は対象。DDのみを行う場合は対象としないと明記(令和4年1月の制度概要による)同じ基準(対象かどうかは行う業務で決まる)
M&Aシニアエキスパート養成スクール案内ページに受講資格の一つとして掲げられている案内ページに受講資格の一つとして掲げられている
金融業務2級 事業承継・M&Aコース「受験資格は特にありません」と公表されている同左
中小M&A資格試験(仮称・創設予定)検討会資料に受験対象の案が示されている段階で、確定情報ではない同左

一般社団法人金融財政事情研究会のM&Aシニアエキスパート養成スクールの案内ページには、受講資格の一つとして「弁護士・税理士・公認会計士・司法書士」が挙げられています(2026-09-07確認)。ただし同ページに掲載されている日程は平成28年開催回のもので、受講料も消費税8%時点の表示です。現在の開講状況・受講料・受講資格が同じかは同ページからは確認できないため、受講を検討する場合は主催者に直接ご確認ください。

「金融業務2級 事業承継・M&Aコース -事業承継・M&Aエキスパート認定試験-」は、受験料7,700円、試験時間120分、四答択一式30問と総合問題10題、100点満点で70点以上が合格基準、受験資格は特になし、通年実施のCBTと公表されています(CBT-Solutions掲載、2026-09-07確認)。

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03

資格が効く場面・効かない場面

法務の専門家として関与するとき

法務DDや契約書のリーガルチェックは、弁護士資格そのものが根拠になります。M&A関連の民間資格に、行える業務を広げる効力があるとする公表情報は見当たりません。学習の効果は、相手の説明を早く理解できるという理解速度の面に出ると考えられます。この段階では書籍と公表資料で足りるという判断も十分成り立ちます。

FA・仲介の側に立つとき

自らFA業務や仲介業務を行う判断をした瞬間、必要な知識は法務の外へ広がります。バリュエーション、マッチング、手数料の設計と説明、利益相反の管理まで含めて自分の責任になるためです。この領域について中小企業庁は、中小M&Aガイドライン第3版のほか、「中小M&A専門人材(個人)向け 使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ」(2025年4月)を公表しています。何が求められるかの全体像は中小M&A支援の倫理・行動規範で整理しました。

事務所として体制を示すとき

登録制度は機関単位で、令和4年1月の制度概要では、要件として中小M&Aガイドライン遵守の旨の宣誓のほか、申請者の基本属性、料金表、ネガティブ事項への非該当性が挙げられています。要件に個人の資格が含まれていないぶん、担当者が体系的な学習を終えていることは、事務所側の説明材料として使えます。制度と資格の関係はM&A支援機関登録制度と資格の関係に詳しくまとめています。

04

注意点・よくある失敗

  • 資格を取れば支援機関として登録できると考える(登録は機関単位で、令和4年1月の制度概要に掲げられた要件に個人の資格は含まれていません。現行年度の要件は令和8年度公募要領でご確認ください)。
  • DDのみの関与なのに登録を前提に体制を組む(令和4年1月の制度概要では対象外と明記されています)。
  • 確定していない受験対象の案を前提に、新資格の取得を織り込んだ事務所方針を先に固める。
  • 上位講座の受講資格だけを見て、現在の開講状況と費用を主催者に確認せずに計画を立てる。
  • 法務の知識があるからM&A実務も分かると考える(プロセス全体と手数料・利益相反の論点は別の体系です)。
  • 中小M&Aガイドラインの版を確認しないまま社内手順を作る(現行は第3版で、2024年8月の改訂です)。
この記事の読み方

比較軸をそろえると、判断理由を説明しやすくなります

選ぶ前に条件を確認することで、料金や印象だけで結論を急ぐことを避けられます。

注意点

制度・料金・提供内容は更新されます

本記事の数値・制度情報は記載の確認日時点のものです。申込前に各公式ページで最新情報をご確認ください。

Long-tail questions

よくある質問

必要という公表情報はありません。中小M&Aガイドライン第3版は弁護士を士業等専門家として位置づけ、株式・事業用資産等の整理・集約の支援、契約書等の作成・リーガルチェック、経営者保証解除の円滑な実現に向けた支援、法務DD、債務超過企業に対する中小M&A支援を主な支援内容として挙げています。

Updates

更新・訂正履歴

  1. 初回公開

    記載の数値・制度情報は2026-09-07時点で一次資料・公式情報を確認したものです。更新・訂正時はこの履歴に日付と理由を記載します。

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