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事業承継・引継ぎ支援センターと商工会議所職員のM&A資格

先に結論

事業承継・引継ぎ支援センターや商工会議所・商工会の職員に、M&A資格の取得を必須とする記載は、確認した公式資料には見当たりません。それでも国の新しい中小M&A資格試験の募集要領は、主な受験対象に「支援機関」を挙げ、「商工団体」での受験も推奨する想定を示しています。受験資格の制限がない金融業務2級から入り、担当する役割に合わせて上位へ進む順番で選んでください。

この記事の結論

  1. 01

    事業承継・引継ぎ支援センターは、47都道府県に設置された公的支援機関。職員にM&A資格を必須とする記載は、確認した中小企業庁の公表資料には見当たらない。

  2. 02

    中小企業庁のサイトに掲載されたセンターの人材募集(2024年)では、求める要件に士業資格や金融機関等での実務経験が並ぶ一方、M&Aの民間資格の名前は挙がっていない。

  3. 03

    新しい国の試験の募集要領は、主な受験対象に「支援機関(金融機関、士業等専門家、M&Aプラットフォーム等)」を挙げ、続けて「商工団体」での受験も推奨する想定を示している。試験日・受験料・受験資格は2026年10月9日の確認時点で未公表。

  4. 04

    シニアエキスパートの金融機関ルートは「現在も在籍中」が条件。センターや商工団体の職員は当てはまらないことが多く、受験資格の制限がない金融業務2級(7,700円)の合格が受講資格をつくる入口になる。

  5. 05

    学ぶ順番は「2級で承継とM&Aの共通言語をそろえる→担当に応じて事業承継シニアエキスパートかM&Aシニアエキスパート→新しい国の試験の公表を待つ」が無理のない組み方。

01

センターはどんな機関か(最終確認日:2026-10-09)

まず、職員として資格を考える前提になるセンターの位置づけを、中小企業庁のサイトで確認できた範囲で整理します。

項目中小企業庁のサイトで確認できた記載
設置「47都道府県に設置された公的支援機関で、親族内承継からM&Aまであらゆる事業承継をワンストップで支援します。」
成り立ち「令和3年4月、親族内支援を行う「事業承継ネットワーク」と、M&A支援を行う「事業引継ぎ支援センター」を統合し、「事業承継・引継ぎ支援センター」に改組。法令に基づく認定機関として、全国47都道府県に設置している。」
業務「全国47都道府県で、事業承継全般に関する相談対応や事業承継計画の策定、M&Aのマッチング支援などを原則無料で実施しています。」
実施の形事業評価報告書に「事業承継・引継ぎ支援事業は、国が産業競争力強化法第134条の規定に基づき認定した者等(認定支援機関等)に委託して実施しており、」とある
職員の役割同報告書の注記に、プロジェクトマネージャー(「センターの業務の意思決定に係る責任者として、管理・運営、組織方針の立案等を担う。」)、サブマネージャー(「プロジェクトマネージャー及び承継コーディネーターの指示の下、相談対応や個社支援を担う。」)、承継コーディネーター、エリアコーディネーターが記載されている
似た窓口よろず支援拠点は「地域の支援機関と連携しながら中小企業・小規模事業者が抱える経営課題に対応するワンストップ相談窓口として、各都道府県に「よろず支援拠点」を設置しています。」と案内されている別の窓口

職員に資格は必要か

確認した中小企業庁の公表資料に、センター職員にM&A資格の取得を必須とする記載は見当たりません。手がかりになるのが、中小企業庁のサイトに掲載された福島県事業承継・引継ぎ支援センターのサブマネージャー(第三者承継担当)の募集(令和6年7月29日掲載)です。求める人材・資格要件は、「事業分析ができ、事業計画が作成できる程度の金融、法務、会計、税務に関する基礎知識を有する。」ことに加え、次のいずれかに該当することでした。

  • 金融機関等において実務経験を有する方
  • 公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁護士等の資格を有する方
  • 上記と同等の能力を有すると認められ、かつ第三者承継の実務経験を有する方

名前が挙がっているのは士業の国家資格で、M&Aや事業承継の民間資格は要件に入っていません。一方で、求められているのは「金融、法務、会計、税務に関する基礎知識」です。資格は採用の条件というより、この基礎知識を自分で確かめ、相談者や連携先に示す手段と考えるのが実態に近い整理です。同じセンターの2025年9月11日掲載の募集(サブマネージャー・第三者承継・親族内承継担当)でも、基礎知識の要件と、金融機関等での実務経験か士業資格などのいずれかという組み立ては同じで、M&Aの民間資格の名前はありませんでした。いずれも1センターの募集の例で、すべてのセンターや商工団体に当てはまるとは限りません。

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2級や上位講座に申し込む前に、新しい国の試験が想定するM&A実務/財務・税務/法務/倫理・行動規範のどこが弱いかを20問で確かめておくと、担当業務に合わせた学ぶ順番を決める材料になります(当メディア運営者が提供する無料サービスです)。

02

新しい国の試験は「支援機関」「商工団体」を想定している

中小企業庁は、中小M&A支援に必要な倫理観や知識等を証明するための資格として、中小M&A資格試験を運営主体として実施する予定です。2026年3月27日の募集要領は、想定する受験者を次のように書いています。

括弧内の例示に事業承継・引継ぎ支援センターや商工会議所の名前はありません。センターの業務が「仲介・FA業務」に当たるかも、募集要領は定義していません。ただし、主な受験対象の文に「支援機関」が入り、続く文で「商工団体」での受験を推奨する想定が示されている以上、公的な支援機関や商工団体で承継・M&Aの相談に関わる職員は、受験を検討してよい立場と読めます。

想定されている形は、全国の試験会場でのCBT方式、4科目(M&A実務/財務・税務/法務/倫理・行動規範)をまとめて120分、設問数は最大60問程度です。初回となる令和8年度試験の実施は株式会社銀行研修社への委託が2026年5月1日に公表されました。試験日・受験料・申込方法・正式名称・受験資格は2026年10月9日の確認時点で未公表です。既存の民間資格による免除・優遇の記載も、確認できた公表資料には見当たりません。

もう一点、検討会(第4回)の資料2には「本資格試験の合格は、既存の業法に基づく独占業務の実施を可能とするものではない」と書かれています。合格しても税務相談などの士業の業務ができるようになるわけではなく、支援の場面で「どこから専門家につなぐか」を判断する力の証明と考えるのが妥当です。

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既存資格を立場別に比べる(最終確認日:2026-10-09)

いま申し込める資格を、センター・商工団体の職員から見た扱いで並べました。

資格受験・受講の条件センター・商工団体の職員の扱い取得時の費用(税込)主に学べる領域
金融業務3級 事業承継・M&Aコース受験資格は特にありません誰でも受けられる。上位講座の受講資格にはならない5,500円承継とM&Aの基礎
事業承継アドバイザー3級どなたでも受験可能誰でも受けられる5,500円+事務手数料330円承継の基本知識と金融実務
金融業務2級 事業承継・M&Aコース受験資格は特にありません誰でも受けられる。合格で得る認定が上位講座の受講資格になる7,700円承継税制・法制、M&A、総合問題
事業承継シニアエキスパート受講資格5項のいずれか金融機関ルートは「現在も在籍中」が条件。2級合格の認定者ルートか、中小企業診断士などの士業ルートで受講受講料132,000円(通常価格)+受験料11,000円親族内承継の税務が中心
M&Aシニアエキスパート受講資格6項のいずれか金融機関ルートは法人営業5年以上かつ在籍中。2級合格の認定者ルートが現実的受講料132,000円(通常価格)+受験料11,000円第三者承継の実務・企業評価・法務
M&Aスペシャリスト受験資格の制限なし誰でも受けられる。合格後に入会申請と資格審査入会費用38,000円(検定試験料11,000円を含む)、年会費33,000円M&A実務・職業倫理・法務・会計・税務(法務・会計・税務は組織再編が中心)、論述を含む
事業承継士国家資格などの専門スキル保有者が原則士業資格のない職員は原則の対象外350,900円(2026年9月19日確認)親族内承継の計画づくり
中小M&A資格試験(創設予定)未公表募集要領の受験者の想定に「支援機関」「商工団体」未公表(有償を想定)M&A実務/財務・税務/法務/倫理・行動規範

この表で効いてくるのは「在籍中」という条件です。金融機関で長く法人営業をしてきた方でも、センターや商工団体に移っていれば、シニアエキスパートの金融機関ルートには当たりません。士業資格がなければ、受講資格をつくる道は金融業務2級の合格になります。資格の全体の並びは事業承継の資格一覧、受験条件の横断比較はM&A資格の受験資格にあります。

04

役割別の判断表:こんな人はこの資格

同じセンターや商工団体の職員でも、担当する仕事で選ぶ資格は変わります。

こんな人向く選び方向かない選び方
センターで親族内承継の相談や計画策定を担当2級→事業承継シニアエキスパートいきなりM&A側の上位講座から入る
センターでM&A・マッチング支援を担当2級→M&Aシニアエキスパート、新しい国の試験の公表を確認3級だけで止める(上位の受講資格にならない)
商工会議所・商工会で承継相談の一次窓口を担当3級か事業承継アドバイザー3級で全体像→2級費用の大きい講座型から始める
金融機関から移ってきた職員在籍要件を確かめたうえで2級から以前の法人営業年数でシニアに申し込めると考える
中小企業診断士・税理士などの士業資格を持つ専門家士業ルートで事業承継シニアエキスパート、または事業承継士士業の業務範囲が資格で広がると考える
よろず支援拠点で経営全般の相談を受け、承継案件は他機関につなぐ3級で論点の見分け方を身につける上位講座に時間とお金を先にかける

判断表で候補が2級以上に絞れた方は、申し込む前に、新しい国の試験が想定する4領域(M&A実務/財務・税務/法務/倫理・行動規範)のどこが弱いかに当たりをつけておくと、2級とシニアのどちらに時間を使うかが決まります。無料の20問診断で確かめられます(当メディア運営者が提供する無料サービスです)。

05

学ぶ順番と費用の積み上げ

センター・商工団体の職員で士業資格がない場合を想定し、公式の金額で順番を積み上げました。

段階やること費用(税込)累計
1(任意)金融業務3級 事業承継・M&Aコースで用語と全体像を確認5,500円5,500円
2金融業務2級 事業承継・M&Aコースに合格し、事業承継・M&Aエキスパートの認定を得る7,700円13,200円
3担当に合わせて事業承継シニアエキスパートかM&Aシニアエキスパートを受講し、認定試験を受ける受講料132,000円(通常価格)+受験料11,000円156,200円
4新しい国の試験の試験日・受験料・受験資格の公表を確認する未公表―

申し込む前の準備度チェック

次の6項目のうち、当てはまるものを数えてください。

  • 相談で出てきた論点が、税務・法務・会計のどれに当たるかをその場で見分けられる
  • 親族内承継と第三者承継(M&A)の進め方の違いを、相談者に説明できる
  • 譲渡を考える経営者に、企業価値の考え方を大まかに説明できる
  • 士業や金融機関、M&A専門業者につなぐ場面で、何を確認してから渡すかを決めている
  • 利益相反や情報管理など、支援者として守るべき行動を言葉にできる
  • 担当する案件がこの1年で増えている、または増える見込みがある

3つ以上当てはまれば、2級の合格を前提に、上位講座か新しい国の試験を視野に入れてよい段階です。2つ以下なら、まず3級か2級で基礎を固めるのが先です。どちらの場合も、チェックで迷った項目が実際の得点でどう出るかを先に見ておくと、学ぶ順番の判断が早くなります。無料の20問診断で、新しい国の試験の4領域に沿って確かめられます(当メディア運営者が提供する無料サービスです)。銀行・信金の立場からの選び方は銀行員・金融機関のM&A資格、中小企業診断士の場合は中小企業診断士とM&A資格で整理しています。

06

注意点・よくある失敗

  • 資格がないと相談業務ができないと思い込む。確認した公表資料に、センター職員に資格を必須とする記載はありません。
  • 金融機関時代の法人営業の年数で、シニアエキスパートに申し込めると考える。金融機関ルートは「現在も在籍中」が条件です。
  • 3級に合格すれば上位講座に進めると考える。受講資格につながるのは2級合格で得る認定です。
  • 新しい国の試験の受験資格や免除を、公表前の情報で決めつける。受験資格・試験日・受験料は未公表です。
  • 資格を取れば士業の業務や登録制度の要件が満たせると考える。M&A支援機関登録制度は機関単位の登録で、個人の資格ではありません(M&A支援機関登録制度と資格の関係)。

よくある質問

確認した中小企業庁の公表資料に、M&A資格を必須とする記載は見当たりません。中小企業庁のサイトに掲載されたセンターの人材募集(2024年)では、金融・法務・会計・税務の基礎知識と、金融機関等での実務経験か士業資格などが求められていました。M&Aの民間資格の名前は要件に入っていません。

取得が必須という記載はありませんが、学ぶ意味はあります。新しい国の試験の募集要領は、「商工団体や事業会社において中小M&Aに携わる者等」についても受験を広く推奨する想定を示しています。承継相談の一次窓口として論点を見分ける力は、2級までの検定で確かめられます。

受験資格は2026年10月9日の確認時点で未公表のため、確定したことは言えません。募集要領の主な受験対象には「支援機関」が入っていますが、センターを名指しした記載はありません。公表までは、想定される4科目に沿って基礎を固めておく段階です。

士業ルートか、2級合格の認定者ルートで受けられます。金融機関ルートは法人営業5年以上かつ現在も在籍中が条件のため、金融機関を離れてセンターに移った方は当たりません。

2級だけなら7,700円、2級からシニアエキスパートまで進むと150,700円(受講料は通常価格)です。新しい国の試験は受験料が未公表です。4領域のどこに費用と時間をかけるべきかは、無料の20問診断で先に確かめられます(当メディア運営者が提供する無料サービスです)。

承継やM&Aの相談を事業承継・引継ぎ支援センターなど他の機関につなぐ立場なら、まず3級や事業承継アドバイザー3級で論点の見分け方を身につけるのが目安です。自分で案件の支援まで担うなら、2級以上を検討してください。よろず支援拠点の職員に特定の資格を求める記載は、確認した中小企業庁のページには見当たりません。

一次資料・参考資料

更新・訂正履歴

  1. 初回公開

    公開時に、記載の数値・制度情報を一次資料・公式情報で確認しました。

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