先に結論
2つの違いは「扱う領域」と「受講資格」です。事業承継シニアエキスパート(アドバンス編)は相続税・自社株など親族内承継が中心で、金融機関なら法人営業1年以上の現職者から受講できます。M&Aシニアエキスパート(プロフェッショナル編)は第三者承継の実務・企業評価が中心で、同じルートなら5年以上が条件です。費用は一般区分でどちらも143,000円。担当する承継の型と、今満たしている受講資格の2点で、先に受ける方を決めてください。
この記事の結論
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名称は段階順(アドバンス編→プロフェッショナル編)に並ぶが、中身は上下ではなく別領域。事業承継シニアエキスパートは親族内承継の税務・自社株、M&Aシニアエキスパートは第三者承継の案件化・マッチング・企業評価を扱う。
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受講資格は4か所が違う。経験年数(1年以上か5年以上か)、中小企業診断士(事業承継側だけ)、M&A支援機関協会会員役職員(M&A側だけ)、事業承継シニアエキスパート認定者(M&A側の受講資格に含まれる)。
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一般区分の費用は同額(受講料132,000円+受験料11,000円)。会員特別価格の対象区分は講座ごとに異なり、M&A側にだけBATONZパートナープログラム会員の105,600円区分とM&A支援機関協会会員の92,400円区分がある。
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認定試験はWeb版で比べると同じ(CBT・四答択一式50問・120分・60点以上)。会場開催があるのはM&A側。
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M&Aシニアエキスパートに進みたいが年数が足りない人の最短経路は、事業承継シニアエキスパートではなく金融業務2級(7,700円)の合格。両方を取るなら、一般区分で合計286,000円になる。
2つの違いが一目で分かる比較表(最終確認日:2026-10-03)
| 比較軸 | 事業承継シニアエキスパート | M&Aシニアエキスパート |
|---|---|---|
| 制度上の段階 | アドバンス編 | プロフェッショナル編 |
| 扱う中心領域 | 親族内承継の税務・自社株・遺留分に関する民法特例 | 第三者承継の実務・企業評価・M&A会計・税務・法務 |
| 受講の形 | Web講義(KINZAI Webアカデミー) | Web講義(KINZAI Webアカデミー)または東京・大阪の3日間の養成スクール |
| 受講期間(Web) | 決済完了日から13週間(91日間) | 決済完了日から13週間(91日間) |
| 受講資格のルート数 | 5項 | 6項 |
| 金融機関ルート | 法人営業経験1年以上・現在も在籍中 | 法人営業経験5年以上・現在も在籍中 |
| 会計事務所等ルート | 実務経験1年以上・現在も在籍中 | 実務経験5年以上・現在も在籍中 |
| 対象士業 | 弁護士・税理士・公認会計士・司法書士・中小企業診断士 | 弁護士・税理士・公認会計士・司法書士 |
| 受講料(一般・税込) | 132,000円 | 132,000円 |
| 会員特別価格(税込) | 92,400円(日本M&Aセンター業務提携金融機関・理事会員) | 92,400円(M&A支援機関協会会員・日本M&Aセンター提携金融機関・理事会員)/105,600円(BATONZパートナープログラム会員) |
| 認定試験受験料(税込) | 11,000円 | 11,000円 |
| 認定試験(Web版) | CBT・四答択一式50問・120分・100点満点で60点以上 | CBT・四答択一式50問・120分・100点満点で60点以上 |
| 認定名称 | 一般社団法人金融財政事情研究会認定事業承継シニアエキスパート | 一般社団法人金融財政事情研究会認定M&Aシニアエキスパート |
| 有効期限・更新 | 確認した公式案内に記載なし | 確認した公式案内に記載なし |
差が出るのは「扱う中心領域」「受講資格」「会員特別価格の対象」「受講の形」の4行だけです。費用や試験形式では差がつかないため、選び方は「何を学ぶか」と「どちらに今入れるか」に絞られます。
比べた条件のまま、いまの理解度を無料で確認できます。
どちらのシニアエキスパートに143,000円をかけるかを決める前に、国の新しい試験が想定する領域で自分の現在地を20問で確かめておくと、時間をかける領域を選ぶ材料になります(当メディア運営者が提供する無料サービスです)。
段階は上下でも、中身は別領域
金融財政事情研究会は、事業承継・M&Aの学習をベーシック編・スタンダード編・アドバンス編・プロフェッショナル編の4段階で案内しています。下の2段階は受験資格の制限がないCBT検定(金融業務3級・2級の事業承継・M&Aコース)、上の2段階が今回の2つの講座セット型の認定です。
この並びから「アドバンス編の次にプロフェッショナル編」と読みがちですが、カリキュラムを並べると両者は同じ線の上にありません。
| 単元 | 事業承継シニアエキスパート | M&Aシニアエキスパート |
|---|---|---|
| 1 | 中小企業の事業承継総論、相続税・贈与税、財産評価、税制改正 | M&A実務1:M&A総論、M&A支援機関協会の倫理規程及び自主規制ルールの概要、マネジメントインタビュー、案件化と概要書作成のポイント |
| 2 | 事業承継税制・遺留分に関する民法特例、事業承継対策の手法、ファミリーガバナンスを用いた事業承継支援、公益財団法人の活用 | M&A実務2:マッチング(買い手探索と買い手との交渉実務等)、M&Aと法務実務、PMI、ケーススタディ・トラブル防止対策 |
| 3 | ケーススタディ(自社株対策、意思決定支援、転廃業) | M&A評価・会計・税務:企業評価概論、企業評価演習、M&A会計・税務、組織再編手法・税制 |
事業承継シニアエキスパートの重心は、オーナー経営者の株式を親族へ移す税務と法制度です。M&Aシニアエキスパートの重心は、第三者へ譲る案件の組み立て・評価・成約です。税務はどちらにも出てきますが、前者は相続税・贈与税・事業承継税制、後者はM&A会計・税務と組織再編税制で、同じ「税務」でも論点が違います。
日本M&Aセンターの案内でも、前者は「事業承継実務」、後者は「中小企業M&A実務」の資格と書き分けられています。どちらを先に受けるべきかを定めた記載は公式案内になく、順番は業務で使う領域から決めるのが筋です。
受講資格の違い:4か所を押さえる
受講資格は、両講座の公式案内に次のように挙がっています。
| ルート | 事業承継シニアエキスパート(5項) | M&Aシニアエキスパート(6項) |
|---|---|---|
| 認定者 | 事業承継・M&Aエキスパート認定者(試験合格者) | 事業承継・M&Aエキスパート認定者/事業承継シニアエキスパート認定者(試験合格者) |
| 士業 | 弁護士・税理士・公認会計士・司法書士・中小企業診断士 | 弁護士・税理士・公認会計士・司法書士 |
| 金融機関 | 銀行・信用金庫・信用組合・証券会社・生命保険会社で法人営業経験1年以上、現在も在籍中 | 同じ業態で法人営業経験5年以上、現在も在籍中 |
| 会計事務所等 | 1年以上の実務経験があり、現在も在籍中 | 5年以上の実務経験があり、現在も在籍中 |
| ファイナンシャル・プランニング | 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 | 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 |
| 業界団体 | 公式案内に記載なし | 一般社団法人M&A支援機関協会会員役職員 |
違いは4か所です。
- 経験年数:金融機関・会計事務所等は1年以上か5年以上か。どちらも「現在も在籍中」が条件です。
- 中小企業診断士:対象士業に挙がるのは事業承継側だけです。
- M&A支援機関協会会員役職員:M&A側だけのルートです。
- 事業承継シニアエキスパート認定者:M&A側の第1項に含まれ、事業承継側の合格で年数にかかわらずM&A側へ進めます。
なお、金融業務3級 事業承継・M&Aコースの合格(事業承継・M&Aベーシックの認定)は、どちらの受講資格にもなりません。3級の種目別ガイドに明記されています。検定から受講資格を作れるのは、2級 事業承継・M&Aコースの合格で得られる事業承継・M&Aエキスパートの認定です。各資格の受講・受験の条件を横断で見たい場合はM&A資格の受験資格の比較を参照してください。
費用の違い:一般区分は同額、会員特別価格は対象が違う
| 費目 | 事業承継シニアエキスパート | M&Aシニアエキスパート |
|---|---|---|
| 受講料(一般) | 132,000円 | 132,000円 |
| 受講料(92,400円の対象) | 日本M&Aセンター業務提携金融機関・日本M&Aセンター理事会員 | M&A支援機関協会会員・日本M&Aセンター提携金融機関・日本M&Aセンター理事会員 |
| 受講料(105,600円の対象) | 案内に区分なし | BATONZパートナープログラム会員 |
| 認定試験受験料 | 11,000円 | 11,000円 |
| 一般区分の合計 | 143,000円 | 143,000円 |
| 2級から入る場合の合計(一般区分) | 150,700円 | 150,700円 |
差が出るのは会員特別価格です。M&A支援機関協会の会員企業ならM&A側は92,400円ですが、事業承継側の案内にこの区分はありません。BATONZパートナープログラム会員の105,600円もM&A側だけです。同じ人でも講座によって受講料が39,600円違うことがあるため、講座ごとに自社の区分を確認してください。
両方を取る場合の総額は、受講資格をすでに満たしている一般区分で143,000円×2=286,000円です。受講資格を2級から作るなら7,700円を加えて293,700円になります。どちらも会員特別価格92,400円の区分に該当すれば、受講料が2回とも39,600円下がり、合計は206,800円です。資格全体の費用を並べたい場合はM&A資格の費用比較もあわせてご覧ください。
試験形式と合格基準:差がないからこそ、受け方で選ぶ
Web版どうしで比べると、認定試験はどちらもCBT方式、四答択一式50問・120分、100点満点で60点以上が合格です。全講義の視聴修了が受験の前提である点、終了後その場でスコアレポートが渡される点も共通です。合格率はどちらも公式ページに記載がなく、数字で難易度は比べられません。
違いが出るのは受け方の選択肢です。M&Aシニアエキスパートには東京・大阪で3日間(各日10:00〜18:00)の養成スクールがあり、翌日の土曜10:00〜12:00に会場で認定試験(四答択一式 計50題)を受けられます。会場試験の結果は後日送付で、第103回・第104回の案内では試験日から1ヵ月半程度とされています。事業承継シニアエキスパートについて当メディアが確認した案内はWeb講義版で、通年申込とされています。
体感の難しさは、相続税・財産評価と企業評価・会計のどちらに慣れているかで変わります。合格基準の考え方はM&A資格の難易度比較で横断的に整理しています。
どちらから受けるか:立場別の判断表
| あなたの立場 | 今受けられるのは | 先に受けるなら | 理由 |
|---|---|---|---|
| 金融機関で法人営業1〜4年目(現職) | 事業承継側のみ | 担当領域しだい | M&A側に進みたいなら、事業承継側の合格か2級の合格で認定者ルートに乗れる。費用は2級(7,700円)の方が小さい |
| 金融機関で法人営業5年以上(現職) | 両方 | 担当領域で決める | 受講資格の差がないため、使う領域が先 |
| 会計事務所等で1〜4年(現職) | 事業承継側のみ | 事業承継側 | 相続税・贈与税・自社株の単元が日常業務と重なりやすい |
| 弁護士・税理士・公認会計士・司法書士 | 両方 | 担当領域で決める | 対象士業は双方に共通 |
| 中小企業診断士(他のルートなし) | 事業承継側のみ | 事業承継側 | 対象士業に挙がっているのは事業承継側だけ |
| M&A支援機関協会の会員企業の役職員(他のルートなし) | M&A側のみ | M&A側 | 協会会員役職員のルートはM&A側だけ。会員特別価格92,400円の対象にもなる |
| どのルートにも当てはまらない | どちらも受けられない | 金融業務2級から | 受験資格の制限がなく、合格で得られる認定が両方の受講資格になる |
「担当領域で決める」の中身は、次の基準で判断できます。
- 相続・贈与・自社株評価・事業承継税制の相談が多い → 事業承継シニアエキスパート
- 譲渡案件の発掘、買い手探索、仲介・FAの実務が多い → M&Aシニアエキスパート
- 後継者がいない会社の相談を、親族内承継と第三者承継の両面から受ける → どちらか一方に絞らず、相談件数の多い側から
- 担当がまだ決まっていない → 決まってから。132,000円の受講料は片方だけでも小さくない投資です
- 最終的に両方を取る予定 → 事業承継側を先に取ると、その認定がM&A側の受講資格になる
ただし、M&A側の受講資格を作ることだけが目的なら、事業承継側の143,000円より2級の7,700円の方が負担は小さくなります。事業承継側を先に受けるのは、その中身を業務で使う場合に限るのが合理的です。
もう一つ視野に入れておきたいのが、国の新しい試験です。中小企業庁が運営主体となる中小M&A資格試験は、「M&A実務」「財務・税務」「法務」「倫理・行動規範」の4科目をCBTでまとめて120分、設問数は最大60問程度という想定が募集要領に示されています。シニアエキスパート2種とは別制度で、免除・優遇の関係は確認できた公表資料には見当たりません。試験日・受験料は2026年10月3日時点で未公表です。どちらのシニアエキスパートに進むか迷う段階なら、新しい試験の領域で自分の現在地を無料の20問診断で確かめておくと、どの領域に時間を使うかを決める材料になります(当メディア運営者が提供する無料サービスです)。
注意点・よくある失敗
- 名称の並び順から「プロフェッショナル編が上位だから」とM&Aシニアエキスパートを選び、担当が親族内承継だったと後で気づく。
- 金融機関の在籍年数を「通算」で数え、転職して現在その業態にいないのにルートに該当すると考える。どちらも「現在も在籍中」が条件です。
- 中小企業診断士の資格でM&Aシニアエキスパートに申し込めると考える。対象士業に挙がっているのは事業承継側だけです。
- 会員特別価格を片方の講座で確認し、もう片方も同じ区分だと思い込む。対象区分は講座ごとに異なります。
- M&A側の受講資格を作るためだけに事業承継側(143,000円)を受ける。年数が足りないだけなら、2級(7,700円)の合格でも認定者ルートに乗れます。
比較軸をそろえると、判断理由を説明しやすくなります
選ぶ前に条件を確認することで、料金や印象だけで結論を急ぐことを避けられます。
制度・料金・提供内容は更新されます
本記事の数値・制度情報は記載の確認日時点のものです。申込前に各公式ページで最新情報をご確認ください。
よくある質問
段階の名称はアドバンス編・プロフェッショナル編の順ですが、カリキュラムは親族内承継と第三者承継で別領域です。受講資格の経験年数はM&A側の方が長く求められますが、どちらが格上かを定めた記載は公式案内に見当たりませんでした。担当する承継の型で選んでください。
受けられます。M&Aシニアエキスパートの受講資格の第1項に「事業承継シニアエキスパート認定者(試験合格者)」が挙がっています。法人営業経験が5年に届いていない方でも、このルートで進めます。
公式案内で対象士業に中小企業診断士が挙がっているのは、事業承継シニアエキスパートだけです。M&Aシニアエキスパートへ進むには、事業承継シニアエキスパートの合格、金融業務2級の合格、そのほかのルートのいずれかが必要です。診断士の資格の組み立て方は中小企業診断士とM&A資格で扱っています。
別の制度で、置き換わる関係ではありません。免除・優遇の関係も確認できた公表資料には見当たりません。新しい試験は試験日・受験料が未公表のため、領域ごとの現在地を先に確かめたい方は無料の20問診断をご利用ください(当メディア運営者が提供する無料サービスです)。
一次資料・参考資料
- 公式情報金融財政事情研究会 KINZAI Webアカデミー 事業承継シニアエキスパート(受講資格・費用・カリキュラム・試験)確認日:2026-10-03
- 公式情報金融財政事情研究会 KINZAI Webアカデミー M&Aシニアエキスパート(受講資格・費用・カリキュラム・試験)確認日:2026-10-03
- 公式情報金融財政事情研究会 第103回・第104回 M&Aシニアエキスパート養成スクール(認定講座)・認定試験確認日:2026-10-03
- 公式情報金融財政事情研究会 第101回・第102回 M&Aシニアエキスパート養成スクール(認定講座)・認定試験確認日:2026-10-03
- 公式情報金融財政事情研究会 事業承継・M&A(M&Aエキスパート認定制度の4段階)確認日:2026-10-03
- 公式情報金融財政事情研究会 金融業務3級 事業承継・M&Aコース 種目別ガイド(上位講座の受講資格にならない旨)確認日:2026-10-03
- 公式情報金融財政事情研究会 金融業務2級 事業承継・M&Aコース 種目別ガイド確認日:2026-10-03
- 公式情報日本M&Aセンター M&Aエキスパート認定資格(各認定の位置づけ)確認日:2026-10-03
- 一次資料中小企業庁 中小M&A資格試験実施事業 企画競争募集要領(2026年3月27日)確認日:2026-10-03
更新・訂正履歴
- 初回公開
記載の数値・制度情報は2026-10-03時点で一次資料・公式情報を確認したものです。更新・訂正時はこの履歴に日付と理由を記載します。
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どちらのシニアエキスパートに143,000円をかけるかを決める前に、国の新しい試験が想定する領域で自分の現在地を20問で確かめておくと、時間をかける領域を選ぶ材料になります(当メディア運営者が提供する無料サービスです)。