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中小企業診断士が事業承継シニアエキスパートを受けるには

結論を先に示し、根拠・比較・関連する疑問・一次資料の順に確認できます。

Answer first結論

先に結論

中小企業診断士は、事業承継シニアエキスパートの受講資格に資格名が明記されているため、前段の金融業務2級(7,700円)を受けずに直接申し込めます。一方、同じ制度のM&Aシニアエキスパートの受講資格に診断士の記載はなく、別の項目で条件を満たす必要があります。費用は一般区分で143,000円、Web講義の利用可能期間は決済完了日から13週間(91日間)です。

Key takeaways

この記事の結論

  1. 01

    事業承継シニアエキスパートの受講資格には「弁護士・税理士・公認会計士・司法書士・中小企業診断士」という項目があり、受講資格は列挙された項目のいずれかに該当すればよい形式です。診断士はこの項目で条件を満たすため、金融業務2級に合格して認定を得る前段ルートは要りません。

  2. 02

    もう一方のM&Aシニアエキスパートの受講資格に診断士の記載はありません。該当しうるのは、事業承継・M&Aエキスパート認定者(金融業務2級の合格者)、事業承継シニアエキスパート認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、M&A支援機関協会会員役職員、金融機関または会計事務所の5年ルートのいずれかです。

  3. 03

    費用は一般区分で143,000円(Web講義受講料132,000円+CBT方式試験受験料11,000円)。92,400円の会員特別価格の対象は日本M&Aセンター業務提携金融機関・日本M&Aセンター理事会員と案内されており、独立して開業している診断士はこの区分に当たらないのが通常です。

  4. 04

    カリキュラムは相続税・贈与税・財産評価と事業承継税制が中心で、第三者承継(M&A)の進め方・企業評価・契約実務は主題ではありません。M&A側の実務を増やしたい診断士には、この講座は狙いがずれます。

  5. 05

    診断士を持っていても、新しい中小M&A資格試験の科目免除は期待できません。検討会資料に「試験(試験科目)免除の取扱いについては、少なくとも立ち上げ期においては設定しないことで一致した」と記載があります。

01

診断士が追加要件なしで入れる講座・入れない講座(最終確認日:2026-10-06)

承継・M&A系の講座は、受講資格の書き方が運営者ごとに違います。診断士という資格名が条件に書かれているかどうかで、必要な手順と費用が変わります。

講座・資格運営者受講・受験資格の記載診断士の資格だけで条件を満たすか確認日時点の費用の記載
事業承継シニアエキスパート金融財政事情研究会「弁護士・税理士・公認会計士・司法書士・中小企業診断士」満たすWeb講義受講料132,000円+CBT方式試験受験料11,000円
M&Aシニアエキスパート金融財政事情研究会対象士業は「弁護士・税理士・公認会計士・司法書士」。診断士の記載なし満たさない(別の項目が必要)Web講義受講料132,000円+CBT方式試験受験料11,000円(会員区分により92,400円/105,600円の特別価格あり)
金融業務2級 事業承継・M&Aコース金融財政事情研究会「受験資格は特にありません」条件なし(誰でも受験できる)受験手数料7,700円
事業承継士事業承継協会「事業承継士の受講資格者は、中小企業診断士、税理士、公認会計士、弁護士、…など、さまざまな国家資格などの専門スキルの保有者が原則となっています」挙がっている(原文は「原則」と留保)資格取得講座のページに受講料の記載を確認できず
M&Aスペシャリスト日本経営管理協会「受験資格の制限はありません。」条件なし(誰でも受験できる)検定試験料11,000円(資格取得支援講座は77,000円)

表のうち、診断士という資格名が条件の側に書かれているのは事業承継シニアエキスパートと事業承継士の2つです。事業承継士は「原則となっています」という留保つきの書き方なので、一覧にある資格でも申込前の確認は要ります。金融業務2級とM&Aスペシャリストは受験資格に制限がないため、診断士という資格が手続きを短くしているわけではありません。M&Aシニアエキスパートは、診断士の資格だけでは条件を満たせない唯一の講座です。資格全体の並びはM&A資格の一覧・全体マップにまとめています。

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02

「診断士だから直接入れる」のは1段階だけ

事業承継シニアエキスパートとM&Aシニアエキスパートは、同じM&Aエキスパート認定制度の中で、金融業務2級より上に置かれた2つの講座です。受講資格の文面は似ていますが、士業の列挙が1か所だけ違います。

受講資格の項目事業承継シニアエキスパートM&Aシニアエキスパート
下位認定からのルート事業承継・M&Aエキスパート認定者(試験合格者)事業承継・M&Aエキスパート認定者/事業承継シニアエキスパート認定者(試験合格者)
対象士業弁護士・税理士・公認会計士・司法書士・中小企業診断士弁護士・税理士・公認会計士・司法書士
金融機関ルート銀行・信用金庫・信用組合・証券会社・生命保険会社において法人営業経験が1年以上あり、現在も在籍中同じ業態で法人営業経験が5年以上あり、現在も在籍中
会計事務所ルート1年以上の実務経験があり、現在も在籍中5年以上の実務経験があり、現在も在籍中
そのほか1級ファイナンシャル・プランニング技能士1級ファイナンシャル・プランニング技能士、M&A支援機関協会会員役職員

この差から、診断士がM&Aシニアエキスパートへ進む道は3つに整理できます。(1)事業承継シニアエキスパート(143,000円)を先に受け、認定者になってから進む。(2)1級ファイナンシャル・プランニング技能士やM&A支援機関協会会員役職員など、別の項目で条件を満たす。(3)受験資格の制限がない金融業務2級 事業承継・M&Aコース(7,700円)に合格して事業承継・M&Aエキスパートの認定を得る。

M&A側だけを先に取りたい診断士にとっては、(1)と(3)の比較が実質的な分岐点です。前者は承継側の認定が1つ増える代わりに143,000円かかり、後者は7,700円で受講資格だけを作れます。(2)に該当する人は、どちらも経由せずに申し込めます。2段階の中身の違いは事業承継シニアとM&Aシニアの違いで比較しています。

日本M&Aセンターの案内では、事業承継シニアエキスパートが「事業承継実務に関する最難関資格」、M&Aシニアエキスパートが「中小企業M&A実務に関する難関資格」と書き分けられています。上下の段階というより、扱う領域が親族内承継と第三者承継に分かれていると読むほうが、講座選びの判断を間違えにくくなります。

03

費用と期間:143,000円と13週間(最終確認日:2026-10-06)

費目金額(消費税込み)条件・備考
Web講義受講料132,000円公式案内の項目名は「Web講義受講料」
Web講義受講料(会員特別価格)92,400円対象は日本M&Aセンター業務提携金融機関、日本M&Aセンター理事会員
CBT方式試験受験料11,000円受講料とは別の支払い
一般区分の合計143,000円Web講義受講料132,000円+CBT方式試験受験料11,000円
Web講義の利用可能期間—利用開始日(決済完了日)から13週間(91日間)
紙の講義資料(約500ページ)—マイページに登録の自宅住所へ、利用開始日から概ね10日で郵送。年末年始(12月26日〜1月4日)受付分は1月5日以降に順次発送と案内

会員特別価格の対象は所属先で決まります。上の92,400円は事業承継シニアエキスパートの案内に書かれた区分で、M&Aシニアエキスパートの案内にはこれに加えてBATONZパートナープログラム会員の105,600円の区分があります。講座ごとに区分の数が違う点に注意してください。金融機関や会計事務所に勤務しながら診断士として活動している場合は、自社が日本M&Aセンターの業務提携金融機関や理事会員に当たるかを申し込み前に確認する価値があります。独立して開業している診断士は、この2区分に該当しないのが通常なので、受講料132,000円と受験料11,000円の合計143,000円で見積もるのが安全です。受講資格の5ルートと認定の位置づけは事業承継シニアエキスパートとはで、承継・M&A系の資格を費用だけで並べたい場合はM&A資格の費用比較で扱っています。取得後にかかる年会費・更新料は資格ごとに差があるため、M&A資格の年会費・更新料もあわせて確認してください。

受験のタイミングも押さえておく必要があります。公式案内では、申込期間は「通年申込」、認定試験は「すべての講義視聴が修了しないと、認定試験(CBT方式)の受験はできません」とされ、受験可能期間は「受験申込日の3日後から、当初受験申込日の1年後まで」と案内されています。つまり91日間に収めるべきは講義の視聴で、試験そのものは講義期間の外に置けます。ただし「修了せずに利用可能期間を超過すると、再度受講申込(有料)が必要です」とされているため、視聴が終わらないまま期間が切れると受講料の払い直しになります。合否は試験終了後その場でスコアレポートが手交され、合格者は試験日の翌日以降に認定証をマイページからPDFで出力できると案内されています。13週間の使い方をさらに細かく組みたい場合は事業承継シニアエキスパートWeb講義13週間の進め方で扱っています。

期間の制約も見落とせません。公式案内には「Web講義は申込手続きが完了すると、キャンセルや申込内容の変更は一切できません」と書かれています。繁忙期と91日間が重なると、視聴が終わらないまま期間が切れる可能性があります。決済日を決める前に、13週間のうち何週が繁忙期に当たるかを数えてください。

04

カリキュラムの3区分と、診断士試験で触れた範囲の関係

公式案内のカリキュラムは番号つきの3区分です。並んでいる項目から読み取れるのは、中心が親族内承継の税務と自社株にあることです。

区分公式案内の記載(原文)診断士試験の科目との関係(本記事の整理)
1中小企業の事業承継 総論、相続税・贈与税の仕組み、財産評価、税制改正「中小企業経営・中小企業政策」で承継政策の枠組みに触れている範囲と重なる。相続税・贈与税の計算と財産評価は診断士試験の科目名には現れない
2事業承継税制・遺留分に関する民法特例、事業承継対策の手法、ファミリーガバナンスを用いた事業承継支援、公益財団法人の活用遺留分の民法特例と経営承継円滑化法は「経営法務」の範囲に近い。事業承継税制の要件判定は、より細かい税務の領域
3ケーススタディ①自社株対策の事業承継事例、ケーススタディ②事業承継の意思決定支援、ケーススタディ③転廃業第2次試験の事例形式に近い進め方。ただし題材は自社株対策・意思決定支援・転廃業に限定される

診断士にとって新しくなるのは、相続税・贈与税・財産評価と事業承継税制の要件判定です。「財務・会計」で企業価値や財務分析を学んでいても、自社株評価の計算と税制特例の適用要件は別の積み上げになります。一方、ケーススタディ3本は事例に当てはめる形式で、第2次試験で事例を扱った経験が活きる部分です。配分を決めるなら、13週間の前半を区分1・2の税務に充て、後半を区分3に残す組み方が計算しやすくなります(これは本記事の整理で、公式が示す学習スケジュールではありません)。

認定試験はCBT方式で、四答択一式50問・試験時間は120分間・合格基準は100点満点で60点以上と案内されています。案内に書かれた出題形式は四答択一式のみで、他の形式の有無についての記載はありません。なお、前段に当たる金融業務2級 事業承継・M&Aコースは「四答択一式30問、総合問題10題」で合格基準は100点満点で70点以上です。同じ運営者でも合格ラインが違うため、2級の感覚をそのまま持ち込まないでください。合格率は、確認した公式ページに記載がありませんでした。

05

立場別の判断表

同じ診断士でも、所属と狙いで判断が変わります。

立場・狙い直接受講できるか先に確認すること判断の目安
独立開業していて、親族内承継の相談を受けたいできる一般区分143,000円で見積もる。繁忙期と91日間の重なりカリキュラムの中心と狙いが一致する
独立開業していて、第三者承継(M&A)の実務を増やしたいできる(ただし狙いがずれる)M&Aシニアエキスパートの受講資格に診断士の記載がない点143,000円を承継側に先払いする形になる。費用を抑えるなら金融業務2級(7,700円)から
金融機関に勤務しながら診断士として活動できる自社が日本M&Aセンター業務提携金融機関・理事会員か(92,400円の対象か)会員特別価格に該当すれば39,600円下がる。社内で区分を確認してから申し込む
会計事務所に勤務し、税務は日常業務できる区分1・2の内容が既知の範囲とどこまで重なるか既知の範囲が多いなら、13週間の配分を区分3のケーススタディに寄せられる
診断士登録を目指している段階(試験勉強中)できない(診断士でないため)受験資格の制限がない検定から入る金融業務2級 事業承継・M&Aコース(7,700円)が現実的な入口

迷いやすいのは2行目です。M&A実務を増やす目的で「上位だから」と事業承継シニアエキスパートを選ぶと、親族内承継の税務に13週間を使うことになります。診断士の資格の組み立て方そのものは中小企業診断士とM&A資格で扱っています。

06

中小M&A資格試験との関係(免除は立ち上げ期に設定しない方針)

診断士を持っていれば新しい試験で有利になるのか、という点について、現時点の公表資料から言えることは限られます。

中小企業庁の検討会資料(第4回・2026年3月17日)には、「試験(試験科目)免除の取扱いについては、少なくとも立ち上げ期においては設定しないことで一致した」と記載されています。同じ資料では「2025年に作成した『スキルマップ』を基に、下記の中小M&A資格試験を中小企業庁が運営主体として実施予定」とされ、令和8・9年度(2026・2027年度)に「中小M&A資格試験の実施」、令和10年度以降(2028年度以降)に「合格者登録・管理制度の運用開始」という時系列が示されています。令和8年度は現在進行中の年度です。試験の実施については、株式会社銀行研修社が委託先として採択されたことが2026年5月1日に公表されています(事業名は「令和7年度補正中小企業活性化・事業承継総合緊急支援事業(中小M&A資格試験実施事業)」)。

一方、正式名称・試験日・受験料・申込方法・受験資格は、確認した公式資料のいずれにも記載がなく、未公表です。検討会資料でも「中小M&A資格試験(仮称)」「中小M&A支援資格制度(仮称)」と仮称のまま書かれています。したがって「診断士なら一部科目が免除される」「診断士は受験資格を満たす」といった説明は、現時点では根拠がありません。なお第5回資料(2026年7月21日)では、登録講習の受講要件について「実務経験に応じて、免除等を行うことも検討」とされています。試験の免除と講習の受講要件は別の話として扱われている点に注意してください。

つまり、新しい試験の条件を待って既存の講座を止める判断には、現時点で根拠となる公表情報がありません。どの講座にいくら払うかは、扱いたいのが親族内承継か第三者承継かで決めることになります。

07

注意点・よくある失敗

  • 上位段階だから診断士でも入れると考えてしまう。M&Aシニアエキスパートの受講資格に診断士の記載はなく、段階の上下と受講資格の広さは別です。
  • 会員特別価格を自分に適用して見積もる。92,400円の対象は日本M&Aセンター業務提携金融機関・日本M&Aセンター理事会員と案内されています。独立開業の診断士は一般区分で見積もってください。
  • 受験料を受講料に含めて数える。Web講義受講料132,000円とCBT方式試験受験料11,000円は別の支払いで、合計143,000円です。
  • 申し込んでから日程を考える。Web講義は申込手続きの完了後、キャンセルも申込内容の変更も一切できないと案内されています。
  • 紙の講義資料の到着を待って開始する。資料は利用開始日から概ね10日で郵送されると案内されているため、到着を待つとその分だけ91日間が短くなります。最初の期間は録画講義だけで進む前提で組んでください。
  • 新しい中小M&A資格試験で科目免除を期待する。立ち上げ期には免除を設定しないことで一致した、と検討会資料に記載があります。
この記事の読み方

比較軸をそろえると、判断理由を説明しやすくなります

選ぶ前に条件を確認することで、料金や印象だけで結論を急ぐことを避けられます。

注意点

制度・料金・提供内容は更新されます

本記事の数値・制度情報は記載の確認日時点のものです。申込前に各公式ページで最新情報をご確認ください。

Long-tail questions

よくある質問

受講資格の項目に「弁護士・税理士・公認会計士・司法書士・中小企業診断士」と記載があるため、この項目で条件を満たします。前段の認定を得るための金融業務2級の受験は不要です。

Sources

一次資料・参考資料

Updates

更新・訂正履歴

  1. 初回公開

    記載の数値・制度情報は2026-10-06時点で一次資料・公式情報を確認したものです。更新・訂正時はこの履歴に日付と理由を記載します。

開示

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