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M&A資格に簿記は必要? 財務が苦手な人の学習順

先に結論

確認した民間のM&A資格の受験・受講資格に、簿記の級を求めるものはありません(新しい国の試験の受験資格は未公表)。ただし多くの資格で財務・会計・税務の分野や講義があります。新しい国の試験では財務・税務が12〜14問程度、出題割合20〜23%程度の想定です。級を取りにいく前に、M&Aで使う財務の範囲で自分の弱点を測り、足りない部分だけ簿記の基礎に戻るのが近道です。まず下の判断表で、簿記から入るべきかを確かめてください。

この記事の結論

  1. 01

    金融業務2級・3級、事業承継アドバイザー3級、M&Aスペシャリストは受験資格の制限がなく、シニアエキスパート2講座・事業承継士の受講資格にも簿記の級は挙がっていない。

  2. 02

    それでも財務の領域は避けられない。2級には「M&A基礎知識・関連会計」、M&Aシニアエキスパートの講義には「M&A評価・会計・税務」、M&Aスペシャリストの出題範囲には「会計」「税務」がある。

  3. 03

    中小企業庁のスキルマップ資料で簿記検定が出てくるのは、受験の条件ではなく、契約締結時に依頼者へ説明する担当者の保有資格の例としてである。

  4. 04

    M&Aで使う財務は、仕訳の作業そのものより、決算書を読んで企業価値評価・簿外債務・スキーム別の税務につなげる力。簿記の基礎は、その土台として必要な分だけ使う。

  5. 05

    財務が苦手な人は、現在地の測定→決算書のつながり→評価→税務→受ける資格の出題分野での演習、の順に8週間で積み上げる。

01

M&A資格の受験・受講資格に簿記は要るか(最終確認日:2026-10-09)

各資格の公式ページ(既存記事で確認したもの)にある受験・受講の条件と、財務・会計・税務が出てくる分野を並べました。

資格受験・受講の条件簿記の級の記載財務・会計・税務が出る分野
金融業務3級 事業承継・M&Aコース受験資格は特にありませんなし分野名に会計・税務を掲げた分野はない(事業承継の事前準備等/親族内・従業員承継の実務/社外承継(M&A)の実務/コンサルティングの実務)
金融業務2級 事業承継・M&Aコース受験資格は特にありませんなし「事業承継関連税制等」「M&A基礎知識・関連会計」が独立した分野
事業承継アドバイザー3級どなたでも受験可能なし分野名に会計・税務を掲げた分野はない(事業承継の基本知識/事業承継と金融実務/その他関連知識等)
M&Aスペシャリスト受験資格の制限はありませんなし出題範囲5分野に「会計」「税務」
M&Aシニアエキスパート受講資格6項のいずれか(士業・1級FP技能士・法人営業5年以上など)受講資格に挙がっていない講義3日目「M&A評価・会計・税務」(企業評価概論・企業評価演習・M&A会計・税務・組織再編手法・税制)
事業承継シニアエキスパート受講資格5項のいずれか(法人営業1年以上など)受講資格に挙がっていない相続税・贈与税・財産評価・事業承継税制など
JMAA認定M&Aアドバイザー講座の受講と修了試験(または実務経験者として協会の審査)記載なし講座の第3章「バリエーションとDD」
事業承継士国家資格などの専門スキル保有者が原則受講対象の例示に挙がっていない親族内承継を中心とする承継実務の講座(科目の内訳は事業承継士の記事を参照)
中小M&A資格試験(新しい国の試験)受験資格は未公表―財務・税務12〜14問程度、出題割合20〜23%程度(想定)

つまり「簿記がないと受けられない」M&A資格は、確認した範囲にはありません。一方で、右端の列のとおり、上位の資格や新しい国の試験ほど、会計・税務を分野名や講義名に掲げています。簿記の級は受験の入口では問われず、財務の知識は試験や講義の中身で問われる、という関係です。条件の全文はM&A資格の受験資格で比べています。

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簿記に戻るべきか、M&A資格の出題分野から入ってよいかを、新しい国の試験の4領域の側から20問で確かめられます(当メディア運営者が提供するサービスです)。

02

簿記は公式資料のどこに出てくるか

中小企業庁が2025年4月に公表したスキルマップ資料で、簿記が出てくるのは契約締結の段階のポイントです。原文は次のとおりです。

ここでの簿記検定は、支援者が依頼者に示す「専門性の例」です。受験の条件でも、資格取得の推奨でもありません。簿記の級を持っていれば、会計の基礎を学んでいることを依頼者に説明する材料の一つにはなる、という位置づけです。

同じ資料の知識の全体図では、「会計/税務」の項目として「ストラクチャリング」「会計処理/税務処理」「簿外債務/税務リスク」が、「ファイナンス」の項目として「企業価値評価」「資金調達(株式/借入)」が例示されています。M&Aの支援で求められる財務の知識は、帳簿をつける作業よりも、決算書から評価・リスク・取引の組み立て方へつなげる側に重心がある、と読めます。

03

立場別:簿記から入るべきかの判断表

立場簿記の基礎から入るか理由最初の一手
決算書をほとんど読んだことがない入る貸借対照表・損益計算書がどう作られるかが分からないと、評価や税務の説明が頭に残りにくい簿記の基礎教材で、取引が決算書に載るまでの流れだけを先に押さえる
金融機関で決算書を日常的に読む級の取得は不要決算書を読む土台はある。足りないのは評価・スキーム別の税務になりやすい受ける資格の会計・税制の分野から演習に入る
税理士・公認会計士・会計事務所勤務不要財務・税務は得意領域。時間を割くべきはM&A実務と倫理・行動規範財務以外の領域の弱点を測る
弁護士・司法書士必要な部分だけ法務は得意だが、財務・税務が弱点になりやすい決算書の読み方と企業価値評価の考え方に絞る
M&A仲介・FAへの転職を考える未経験者入る(級は目的しだい)財務・税務は新しい国の試験でも独立した科目。級を示したい場合は別途検討簿記の基礎とM&A資格の検定を並行
自社の売却・買収を考える経営者自社の決算書が読めれば十分支援者の説明を理解できれば目的は果たせる中小M&Aガイドライン(第3版)と自社の決算書を突き合わせる
04

「何級か」より「M&Aで使う範囲」で考える

「M&Aには簿記の何級が要るか」という疑問について、M&A資格の公式ページに、何級相当の知識が要るかを示した記載は確認できませんでした。そのため、級で目安を決めるより、M&A資格の出題分野とスキルマップ資料の項目から逆算して、使う範囲を決めるほうが判断しやすくなります。

一般に、簿記の学習では取引の記録(仕訳)から決算書ができるまでの流れを学びます。M&Aの財務領域で使うのは、そのうち決算書の読み方につながる部分と、その先にある次の知識です。

  • 貸借対照表と損益計算書の関係(利益が純資産にどう積み上がるか)
  • 資産・負債の中身の見方(帳簿に載っていない債務があり得ること)
  • 企業価値評価の考え方(スキルマップ資料の「ファイナンス」の項目)
  • 株式譲渡・事業譲渡などの取引の組み立て方と税務(同「ストラクチャリング」「会計処理/税務処理」)
  • 事業承継に関わる税制(金融業務2級の「事業承継関連税制等」、事業承継シニアエキスパートの相続税・贈与税・財産評価)

最初の2つが簿記の基礎とつながる部分で、残りの3つはM&A資格の側で学ぶ部分です。簿記の級の取得に時間を使いすぎると、後半の3つに手が回らなくなります。

05

財務が苦手かどうかの自己チェック

次の7項目のうち、3つ以上当てはまれば、M&A資格の財務領域は「簿記の基礎から下支えが要る」状態です。2つ以下なら、級を取りにいかずに資格の出題分野から入って構いません。

  1. 貸借対照表の左側と右側が、それぞれ何を表しているか説明できない。
  2. 利益が出ているのに資金が足りなくなる理由を説明できない。
  3. 減価償却が、利益と資金のどちらに影響するかで迷う。
  4. 純資産と企業価値が同じものかどうか、自信を持って答えられない。
  5. 株式譲渡と事業譲渡で、買い手が引き継ぐものの違いを説明できない。
  6. 「簿外債務」という言葉を聞いて、具体例が浮かばない。
  7. 決算書を見ても、どこから読めばよいか分からない。

チェックで3つ以上当てはまった人も、財務以外の領域まで弱いとは限りません。逆に財務に自信がある人でも、倫理・行動規範や法務に穴がある場合があります。学ぶ順番を決める前に、新しい国の試験の4領域(M&A実務/財務・税務/法務/倫理・行動規範)のどこが弱いかの当たりをつけておくと、簿記に戻る時間を最小にできます。無料の20問診断で確認できます(当メディア運営者が提供する無料サービスです)。

06

財務が苦手な人の8週間の学習順

働きながら週に数時間を確保する人を想定した、財務領域の積み上げ方の例です。公式に示された学習時間ではありません。

週やること使う資料
1週目4領域の現在地を測り、財務・税務の弱さを確かめる。上のチェックの結果と合わせ、簿記の基礎に戻る範囲を決める無料の診断・自己チェック
2週目取引が決算書に載るまでの流れ(仕訳→決算書)を一巡する。細かい処理の暗記は後回し簿記の基礎教材の該当範囲
3週目貸借対照表・損益計算書の読み方。利益と純資産、利益と資金の違いを自分の言葉で説明する基礎教材・自社や公開されている決算書
4週目簿外債務・税務リスクの考え方。帳簿に載らない債務がM&Aでなぜ問題になるかを押さえるスキルマップ資料・中小M&Aガイドライン(第3版)
5週目企業価値評価の代表的な考え方を、手順として説明できるようにする(評価だけを深く学ぶ順番は別記事で扱う)中小M&Aガイドラインの参考資料・受ける資格の教材
6週目株式譲渡・事業譲渡などスキーム別の税務。売り手と買い手で何が変わるかを表にする受ける資格の教材
7週目受ける資格の出題分野で演習(2級なら「M&A基礎知識・関連会計」「事業承継関連税制等」、新しい国の試験なら財務・税務)問題集・本番形式の演習
8週目演習の誤答を見直し、財務の弱点が残っているかを測り直す。残っていれば2〜3週目に戻る誤答リスト

ポイントは、2〜3週目で簿記の基礎を「決算書が読める」ところまでで止め、4週目以降をM&Aの財務に使うことです。5週目の企業価値評価を深く学ぶ場合の資料と教材の選び方は、M&Aの企業価値評価の勉強法で手法ごとに整理しています。新しい国の試験の財務・税務は12〜14問程度の想定で、4科目には科目別に50%程度の最低基準も想定されています。財務を捨てる計画は立てられません。8週目の測り直しには、本番想定の無料の60問模試が使えます(当メディア運営者が提供する無料サービスです。60問模試は無料会員登録で利用できます)。

07

簿記の級を取りにいく価値がある場合

M&A資格の受験に級は要りませんが、級を取ること自体に意味がある場面もあります。

  • 決算書を読んだ経験がほとんどなく、基礎を体系的に一巡したい場合。
  • 依頼者に会計の基礎を学んでいることを示したい場合。スキルマップ資料は、担当者の保有資格の例に簿記検定を挙げています。
  • 勤務先で、会計に関する検定の取得が求められている場合。

反対に、決算書をすでに日常的に読んでいる人が、M&A資格の準備より先に級の取得に時間を使うのは遠回りです。M&A資格の財務領域は、評価・税務・取引の組み立て方まで含むため、級を取っても残りの範囲は別に学ぶ必要があります。

08

注意点・よくある失敗

  • 「簿記の級がないと受けられない」と思い込み、受験を先延ばしにする。確認した資格の受験・受講資格に簿記の級はありません。
  • 簿記の細かい処理の暗記に時間を使いすぎ、企業価値評価やスキーム別の税務に手が回らなくなる。
  • 財務が苦手だからと、財務の領域を捨てる計画を立てる。新しい国の試験には科目別の最低基準も想定されています。
  • 税理士・会計士など財務が得意な人が、財務ばかり復習してM&A実務と倫理・行動規範を後回しにする。
  • 自分の弱点を測らずに、簿記とM&A資格の両方の教材を一度に買う。

よくある質問

受験・受講の条件としては不要です。確認した民間のM&A資格の受験・受講資格に、簿記の級を求めるものはありません(新しい国の試験の受験資格は未公表です)。ただし、金融業務2級・M&Aシニアエキスパート・M&Aスペシャリスト・新しい国の試験などには財務・会計・税務の分野や講義があるため、決算書が読めない場合は簿記の基礎から学ぶと理解が早くなります。

M&Aアドバイザーとして業務を行うために、簿記の級が必須とされているわけではありません。中小企業庁のスキルマップ資料は、簿記検定を「担当者の保有資格」の例として挙げ、契約締結時に経験年数・成約実績とあわせて依頼者に説明することを求めています。持っていれば説明材料の一つになる、という位置づけです。

M&A資格の公式ページに、何級相当の知識が要るかを示した記載は確認できませんでした。級で決めるより、上の自己チェックで決算書の読み方に不安があるかを確かめ、不安があれば簿記の基礎のうち決算書につながる範囲を先に学んでください。

受験はできます。ただし、新しい国の試験の財務・税務は12〜14問程度の想定で、科目別の最低基準(50%程度)も想定されています。苦手なまま捨てるのではなく、決算書の読み方→企業価値評価→スキーム別の税務の順に積み上げてください。

決算書をほとんど読んだことがなければ、簿記の基礎を2週間ほど先に入れ、決算書が読めるところで止めてM&A資格の準備に移るのが効率的です。決算書を日常的に読んでいるなら、M&A資格の出題分野から入って構いません。

上の7項目の自己チェックに加え、新しい国の試験の4領域の側から測ると、財務以外の弱点も同時に分かります。無料の20問診断で確認できます(当メディア運営者が提供する無料サービスです)。

一次資料・参考資料

更新・訂正履歴

  1. 初回公開

    公開時に、記載の数値・制度情報を一次資料・公式情報で確認しました。

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